半兵衛

高麗葬の半兵衛のレビュー・感想・評価

高麗葬(1963年製作の映画)
4.0
飢餓にあえぐ寒村を舞台に、その中で明日の食料を確保するため必死に生きる登場人物たちの生々しさは『楢山節考』より酷くて比類が無い。特に大人になっても結婚も出来ず、父親を邪険にし、義理の母とその連れ子である主人公をイビり、村を支配する巫女と結託して生きる十兄弟のみみっちい小悪人ぶりは見ている人に厭な気分を与える。

だからこそ、母を慕う主人公とその母の二人の純粋な愛が際立ってくる。姥捨て山での別れのシーンは少しくどかったけど泣きそうになった(一緒についてくる子供の演技がまた良い)。そしてそのあとの展開、キム・ギヨンの過剰な演出がこれでもかと炸裂し、そんな中でも前を向いて生きようとする主人公の逞しさにまた泣きそうになる。
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