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AMY エイミーのzunzunのレビュー・感想・評価

AMY エイミー(2015年製作の映画)
4.2
冒頭から、エイミーの歌声とチュートさに魅了される。よくここまで記録が残っていたと思わせる豊富なプライベート映像は凄い。

暗雲が立ち込めるのはブレイクと出逢ってから。何でこんな奴を好きなんだろうって所は、シド・ヴィシャスとナンシー・スパンゲンの逆の型のようにも思え、付き合い続ければ破滅しかないような関係だった所も同じ。
でも、この破滅的な関係から曲が生まれたのも事実で皮肉。

最大の盛り上がり場面はグラミー賞。
憧れの人物から発表された時の、驚きの顔が最高!
(当時、グラミー賞に出席するのか、しないのかが話題になっていたのを微かに覚えている)
でも受賞後に裏で幼馴染に語ったことが、彼女の戸惑いと悲劇を物語っているような気もする。
歌手としての溢れんばかりの才能があっても、セレブとして上手く対処出来るかは別の話。パパラッチ餌食にされるエイミーの姿には居た堪れなくなる。
そして、心から愛する人達に金蔓扱いされたら、どれだけ傷つくのだろう…

決してエイミーの良い部分だけを描いた作品ではない。彼女の弱さや怠惰な負の一面も描かれ、時にはショッキングでもある。
でも、奇行とも受け取られるエイミーの行動の裏側には孤独や哀しみが存在していることが理解出来る作りになっている。そこがこのドキュメンタリー作品の素晴らしさである。

天才とは奇人でなく、人より繊細で感じ易く精神的に脆い人のような気がする。人より感じ易いからこそよりクリエイティブになれる。決してハッピーな出来事ばかりでなかったが、そのリアルな感情を歌にしたエイミー。
そんなエイミー・ワインハウスを愛おしく感じずにはいられなくなる作品だった。
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