Masato

バリー・シール/アメリカをはめた男のMasatoのレビュー・感想・評価

3.8

ダグリーマン監督作品

字幕は誤訳の女王でありトムクルーズ大好きおばさんのなっち。

映画のベースは「ウルフオブウォールストリート」や「日本で1番悪い奴ら」などと同じ、実在の犯罪者の栄枯盛衰を描くスタイル。
上記2作品と同様に、ぶっ飛んだ人生をコミカルに面白おかしく描いている。

このスタイルは基本面白い。このバリーシールという男は飛行機の操縦とサツに対する嗅覚が天才的なのにも関わらず、他は相当なイカレポンチな野郎で、事あるごとにやらかす様が本当に面白い。お金がありすぎていろんな所に隠して、扉開けたらお金が飛び出してきたりとか、予告編にもあるトムクルーズが粉まみれで子どもの自転車を乗り回すシーンとかおかしすぎる。
バリーシールだけならまだしも、かの有名なパブロエスコバルやドーナルグリーソン演じるCIAのシェイファーもなかなかのヤバい奴。

と思えば、政府やCIAの汚さが本作では描かれている。バリーシールはCIAにこき使われたのである。ダグリーマンはボーンシリーズなどでCIAの暗部をテーマにしていて、そこは監督の作家性が一貫しているだろう。見た直後はあまりにものコミカルさに気づかなかったが、今思えば政府批判が隠されている。だから、「アメリカをはめた」ではなく、「アメリカにはめられた(利用された)」なんだよね。
ラストシーンでいままで笑ってた顔が青ざめるようなシーンがあるのだけれど、それが監督の言いたかったことかもしれない…

80年代を醸し出す音楽をBGMにして、当時の社会を実際の映像とわかりやすいアニメーションで教えてくれる。どうしてCIAが武器を運ばせるのか、などの社会背景や複雑な密輸のルートもわかりやすく説明してくれるので安心です。
いろんな細かいところを80年代風のアナログな映像にしているので、見ているだけで面白い。

カット割りが多く、手ブレのカメラワークが多かったりしてハイテンションなノリで映画が進んでいく。止まる事なくひたすらバリーシールの山と谷を見せてくれる。


トムクルーズは最近顔がただれてきているが、まだまだ動く。現在撮影中の「M:i 6」で足を骨折する重傷を負って、さらに撮影が中断されてもう終わるんじゃないかと思ったら、数ヶ月で驚異的な復活を遂げて再開したというとんでもない男。
サイエントロジーとかいろいろ悪評を聞くけど、頑張って欲しい。なっちも応援してるよ。
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