ShinMakita

バリー・シール/アメリカをはめた男のShinMakitaのレビュー・感想・評価

2.3
1978年。TWAの最年少パイロット、バリー・シールは、CIAのシェイファーの訪問を受け、転職の誘いを受ける。中南米の各国上空を双発機で低空飛行し、共産ゲリラの写真を撮影してこいというのだ。バリーは引き受け、危険な偵察飛行をこなしていくが、ギャラの安さに不満も感じていた。そんなある日、コロンビアで給油中、剣呑な男たちに囲まれ大きな屋敷に連行されてしまう。ゲリラにバレて消されるのか?と思いきや、現れたのはコカイン精製屋のホルへやエスコバルというオッサンたち。後のメデジンカルテルのトップに立つ男たちだ。彼らは、バリーの腕を見込んでコカインをアメリカに密輸してほしいと依頼してきた。カネが欲しいバリーは、欲を出して承諾。見事にアメリカまでブツを空輸し、ルイジアナ上空でドロップすることに成功する。後日ギャラを受け取りにコロンビア入りしたバリーは、その大金にニンマリするが、すぐにコロンビア警察に逮捕されてしまった。コカイン密輸はすでに当局にバレており、ルイジアナのバリーの家にも州警察が踏み込むことになっているらしい。落ち込むバリーだが、シェイファーはすぐさま救いの手を差し伸べてくれた。アーカンソーのミーナという小さい町に家と飛行場を用意してくれたのだ。逮捕を逃れ、妻子と共にミーナに移り住んだバリーは、シェイファーからの命令で中南米飛行を再開する。しかし今回は偵察ではなく、ニカラグアの反政府ゲリラ「コントラ」にAK47を供給する任務だった。バリーは早速ニカラグアとミーナを往復する輸送飛行を始めるが、ある時、ニカラグアのコントラ領に現れたホルへと再会する。コロンビアカルテルは銃を必要としていて、コントラは武器よりもカネを欲しがっていて、ホルへとニカラグアの麻薬組織はコカインをアメリカに密輸したがっている。この三者を同時に満足させられるのはバリーだけだと言うのだ。バリーはCIAの武器をニカラグアではなくコロンビアに運び、ニカラグアを経由しながらコカインとカネを運び、ミーナに帰る時にはコカインを密輸するという飛行プランを立案。これが大成功し、1982年には、バリーは札束を隠す場所に困るほどの大富豪になっていた。しかし、そんな甘い日々がいつまでも続くはずもない。コカイン密輸の線からDEAが、武器輸出の線からATFが、そして異常な額の預金額からFBIの金融犯罪課がバリーに 目を付け、逮捕の機会をうかがっていたのだ…


という「バリー・シール」を鑑賞。70-80年代っぽい画面の荒さ・古さに最初から気分高揚、楽しく観ることができましたよ。

以下、ネタバレ・シール


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オールユーニード…辺りから、〈狡くて臆病なバカだが憎めない奴〉というキャラを確立してきたトム・クルーズ。もはや昔のナルシズムは影を潜め、堂々とクズ役を演じていました。その清々しさにまず拍手。まぁシールもバカだけどCIAも相当なバカ。あんな大真面目に反共活動やってたなんて、笑い話もいいとこです。司法組織が束になって逮捕し、CIAも見放したバリーを、こともあろうにホワイトハウスが救うってのが、冗談以外の何物でもないですよね。当時のイラン・コントラ事件を知っているので大いに受けました。ラストにパパブッシュを映すのは最高の皮肉(笑)

ただ、副題のアメリカをはめた男ってのは邦題詐欺だなー。はめたんじゃなくて、ただ流されて上り詰めた男だからね。
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