MasaichiYaguchi

画家モリゾ、マネの描いた美女 名画に隠された秘密のMasaichiYaguchiのレビュー・感想・評価

3.5
日本において日曜画家や美術愛好家をはじめ、また絵画を含め美術に詳しくない人でも、ルノワールやドガ、ゴッホやセザンヌ、モネ等の「印象派」が好きな人は多いと思う。
本作は「印象派」の黎明期を、女性画家で絵画のモデルでもあったベルト・モリゾの視点から描いている。
この作品には彼女に係わるキーマンが二人登場して物語が展開していく。
一人は彼女の姉で、結婚して子供が出来るまで共に画家の道を歩んだエドマ・モリゾ。
そしてもう一人は、彼女がモデルを務め、絵の師とも呼ぶべきエドゥアール・マネ。
彼女は二人に影響されたり、逆に及ぼしたり、憧憬したり、反発したりしながら、画家として、女性として成長していく。
彼女が生きた19世紀フランスは、上流階級の女性は良妻賢母になることが美徳であり、美術界においては、サロンと呼ばれる展覧会を主催するアカデミーが権威を持っていた。
ベルト・モリゾは、家庭と社会における保守的な考えに抗い、何とか自分の絵が世間に認められるよう、絵筆を執り続けていくのだが…
文芸作品の映画だが、マネの代表作の数々、「笛吹く少年」、「オランピア」、モリゾがモデルの「すみれの花束をつけたベルト・モリゾ」や「バルコニー」が登場し、その制作エピソードがフィクションを交えて描かれていて興味深い。
そして、マネのモデルとしては有名な彼女だが、本作で画家としての業績が再評価されるのではないかと思う。