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アイヒマン・ショー/歴史を写した男たちの遊のレビュー・感想・評価

4.5
試写会にて鑑賞

マーティンのイギリスなまりが見事になくなっていて演技力の高さに感動。

所々に出てくる実録映像が衝撃的で現実に起こった事であるという事実が深く突きつけられる。
裁判が始まってカメラを回している場面では現場の緊張感がこちらにも伝わってくるほどで、実録映像が流れている時の目を背けたいが受け入れなくてはいけないというキャスト個人個人の葛藤も伝わってきた。
またテレビを放送するに当たっての脅迫や視聴率など、伝えることの難しさも知った。

アイヒマン自身の人間性や感情は結局実録映像からも分からずじまい、汲み取ることは出来なかったように思ったが、質問の受け答えから思うに受け止めたくないという心理から責任や感情、全てを投げ出してその悲痛な事実から背いているような答えが多いように感じた。
だが、実録映像をきちんと目を背けずに見ていることを見ると必ずしもそうとも言えない。
また、証人が裁判に出ている112人以外にもたくさん町に溶け込んでいるとホテルのオーナーがそうだった事、オーナーが語ることによって裁判が無くては語られなかった、体験していない人に信じてもらえない事実もあることに気付かされた。

アイヒマンは誰でも成りうる
アイヒマンの裁判ではこの言葉一つで語られてしまう事が多いが、それよりもまずホロコーストの実態、証人の声に耳を傾け、その悲痛な事実を聴いて見て受け止めることが大切なのではないか、と考えさせられた。
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