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アイヒマン・ショー/歴史を写した男たちのkamomailのレビュー・感想・評価

3.5
素晴らしいメタメタ映像なのでロングランしてほしいですし、今まで知りえなかった報道の裏を垣間見れて勉強になりましたが…

テレビマンたちのドラマを正面からドラマチックに描こうとしすぎたのではないかとも思いました。
すぐに良くないとわかるのは、ベタに扇情的だったり陽気だったりする音楽です。
音楽は当然テレビクルーの心情や情景に合わせて流れるのですが、やはりテレビクルーの悲喜劇はホロコーストの惨劇ほど観客の心を揺さぶれはしないので…
ホロコーストの被害に比べてテレビマンの葛藤は大したドラマではない、などとひき比べてしまいそうになる演出でした。

それが製作者のメディアとしての矜持なのか、まだわかりませんが…
そんなに正面から感動させよう/王道的に見やすくしようとしなくても、たとえ一般には少し見にくくなったとしても、べつの切り口、べつの演出があったのではないかとも思います。
それで観る人が減るようなら本末転倒なのかもしれませんが、わかりやすくした代わりに物足りなくなってしまった感じがしました。
観客の知識量によって差が出てしまう歴史ノンフィクションは、ターゲットのとり方が難しいですね。
特にナチの映画は多いので…

法廷でのやりとりの分量はちょうど良かったと思います。
ヨセフやホテルの女性などのキャラクターもとても良かったです。
ノンフィクション作品のなかでは、商業的に洗練されているほうかと思います。
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