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アイヒマン・ショー/歴史を写した男たちのchiyoのレビュー・感想・評価

3.5
2016/5/7
1961年にイスラエルで開かれた「アイヒマン裁判」の裏側を描きながら、ガラスの向こう側にいるアイヒマンの表情を映し出した意欲作。前半は制作チームのゴタゴタがメインのように思えるけれど、後半で強制収容所に連行されたユダヤ人が証人として体験を語り始めると同時に、作品の質がガラリと変わる。そして、彼・彼女たちが解放後すぐに多くを語らなかったのは、ナチスに対する恐怖心や語ることで自身が再び傷付くからだと思っていた。が、「話したけれど信じてもらえなかった」という理由もあったとは!確かに、あまりに常軌を逸しすぎていて、信じ難い事実だけれど…。生死を問わず実際の強制収容所でのユダヤ人の映像は、アラン・レネ「夜と霧」を彷彿させる。アイヒマンが凡庸かどうかは分からない。ただ、その行いが間違っていたと微塵も感じていないことだけはよく分かった。
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