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ラ・ラ・ランドのこのレビュー・感想・評価

ラ・ラ・ランド(2016年製作の映画)
4.0
こういう映画はやっぱ公開初日に観ちゃうのがお祭りでしょ!twitterとかで色んな人の感想があふれた後で観るのはなんか嫌だったので、レイトショーに駆け込みました。半分以上は埋まってた。多分普段映画観ない人もたくさんいるんだろうなと思った。

スクリーンにモノクロのスタンダードからのシネスコにぐいって広がった時に、ああ、とにかく何か本気なんだろうなと思った。そこからタイトル出るまでの渋滞の道路の中でのいきなりのミュージカルシーン。こういう圧倒的な多幸感が味わいたくて映画観てるんですよ!と思わされる。

とにかく序盤はミュージカルシーンも多めで完璧なんじゃないでしょうか。ミアがルームシェアしてる女友達とパーティーに向かうシーンとか、異常な色彩感覚と色々動かすカメラワーク。ストーリーは王道と言えば王道だけどよくある話でもあるので、2人が付き合い始めてからの中盤〜観た人なら分かるラストのあそこまでは「普通」な印象。でも別に悪いとかも思わず。というか、あの色彩感覚やカメラワーク、音楽や役者たちの演技の情報量が半端ではないので、あれぐらいシンプルな物語じゃないと頭が追いつかないとも思う。

セブが店のマスターに言われた曲を演奏せず自分のやりたい曲を弾いてクビになるシーンは、「志のある三流は四流」というドラマ『カルテット』のセリフを思い出した。いや、そらお前クビになるよと思ったし、昔のバンド仲間のキースの「ジャズは過去のものじゃない、未来のものだ。まずは聴いてもらわないと駄目だろ?」的な発言も、超正論で嫌なやつとは思えなかった。ジャズのことは詳しくないので、あれがジャズなのかどうかっていうのは分からんけど。

これって、多くの人が言ってるように夢に夢見る夢追い人な男女の話なんだと思う。セブもミアも、なんか少し現実見てない感があった。ジャズや女優業で生活していこう、みたいなのは感じなかった。あと、この2人ってどう考えてもがっぽり稼いでるはずないのにやたらデートで色々行っててどこからそんなお金があるんだ?って思った。車も持ってるし。

ネタバレになるから言わないけど、ラストの一連のあのシーン、良かったですね。映画って、最初と最後がよければ満足して帰れる気がするので、そういう意味では百点満点だと思います。あの空白の5年間の中で、お互いに色々折り合いをつけたんだろうな。そこを見せないのがまた良い。

劇中で繰り返されるあの楽曲はやっぱずっと鼻唄で歌いたくなるし、映画を観る幸福感に浸れるので、とてもいいです。繰り返し観たくなります。

追記
『ラ・ラ・ランド』の日本版ポスターデザインが発表されたとき、SNS(ていうかtwitter)上でいわゆる洋画を愛する映画ファンが「またダサい宣伝だ!映画を侮辱してる!ポスターに何でも詰め込みやがって!」と怒ってたが、本編を観た今、いや、あのデザイン全然おかしくないじゃんって思った。よく作品の世界観が表現されてると思う。何でもかんでも叩けばいいわけではない。
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