蛙ドーナツ

ラ・ラ・ランドの蛙ドーナツのレビュー・感想・評価

ラ・ラ・ランド(2016年製作の映画)
4.4
わりと『ララランド』は最近のアメリカ映画の傾向に添っているっていうか『モアナ』や『ベイマックス』と共通する理念があるような気がするな〜〜って考えていたんだけど、基本がアンチ童貞野郎精神なんスよ。
つまりさ『フツーの僕が実は異世界に行ったら英雄!!!』は「絶対にねえよ」って言ってくれる優しさがあるの。

ララランドは勘違いされがちだけど、セブは『どこにでもいるフツーの僕』なんかじゃなくて『メッチャ才能がずば抜けてあって、さらに努力もして、信念も鉄の意思もある天才』で、その天才が「なんで世界は俺のことを認めない!?!?ふざけるな!!!!」と怒り続けてるし、最後に世界に認めさせる話やからな。

セブはさ、最後は自分のことを「大人になれよ」って言ってた仲間をひれ伏せさせてんし、店も持ち、大成功しているんよ。
アイツはシャイニングスターなんよ、我ら凡庸なる民草とは違うんよ
天才が最初から最後まで自分をなんとか貫き通して勝つ話なんだよ。

それはさぁ、ミアも同じでさあ、あの子も最初から最後までシャイニングスターなんだよ……。
シャイニングスターの二人が一瞬交錯する話でさ、基本的には観ている我ら一般大衆が共感できるような話じゃねえの。
『アマデウス』で言ったら、モーツァルトとモーツァルトが恋する話なの。サリエリの出番はちょっとしかありません。

セッションも基本構造がおんなじで、基本的に輝かんばかりの才能に溢れた者同士の物語なので、サッパリ共感できるところはないの……
でも、監督が作劇上手いから観ちゃう、だから叩く人が大勢発生する、そんなメカニズムだと思うのよ……

つまり、あの監督の自伝なんやね、両方共
若くしてハリウッドで大成功した監督の自伝に感情移入はなかなか難しいと思うの
そこをちゃんと感動できるようにもってきたり、見入っちゃうようにつくれるチャゼル監督は作劇能力異常なんよ……
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