めり

ラ・ラ・ランドのめりのネタバレレビュー・内容・結末

ラ・ラ・ランド(2016年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

予備知識なしで観た。やたらとみんなが良いというので期待しないで観たけど、うん、これは思ってたより良いです。
一番驚いたのは劇中で流れるしっとりめの切ない曲、まんま滝廉太郎やないかいと思ったら本当に滝廉太郎のアレンジだったんですね??すごいな滝廉太郎

序盤ガンガン飛ばして来るのでこのノリで最後まで行くつもりなら私は寝てしまうぞ…と思ったけど、そんなことはなかったです。みんなで合唱するね!って感じのミュージカル映画がそもそもあんまり得意じゃないんだけど、これはこれで良いかなという気持ち。
ミアとセブの2人のそれぞれの夢を軸に進んでいくけど、この2人ってとっても対称的で、正反対に同じなのかなと思った。
ラストになるにつれて2人の進む道や選ぶ道が変化していくんだけど、それをうまく表現してたかなと思う。全体的にミアは明るい色や明るい照明のそばに、セブは暗めの色や地味な色を着て明るい照明から遠い場所にいるように立ち位置が構成されてて、対称的な2人を表してたのも良い。
映像は原色が多いと思ったけど、ただ原色を使って派手にしてるわけじゃないのが良かった。

あとラストのセブが可哀想とか残念みたいな意見が多いけど、これはちょっと違うと思う。
何故かと言うと、セブはそもそも自分の店を持ってジャズで成功したいと冒頭にはっきり主張してて、ラストにそれを叶えてるから。
可哀想とか残念というのはあくまでもミアと一緒にいれなかったことであって、セブは人生や夢に成功してるし、そこを計り間違えてはいけない。ミアの方が大きな舞台にいるだけで、2人とも夢は叶えてるんです。
もしお互い夢を叶えてセブとミアが一緒に進めるならそれが理想だけど、そうじゃないからお互いの夢のために2人の関係を諦めることを選んだわけで。
可哀想というならセブと同じくらい、ほんとはあの時のミアも可哀想だよ。

印象に残った場面はミアがパーティ帰りにピアノの音を聞いて、セブが演奏する店の前を通ったとき。一瞬、店のガラスに光がうつるんです。
そこのシーンが忘れられない。
ミュージカル作品として観ると歌が弱すぎる。下手じゃないけど歌のインパクトに欠けるため、何度も同じ曲を重複しているのか、それは映画の世界観なのかわかりませんが、いずれにせよ中途半端。
絶対的に上手い歌い手を女優に置くべきだったのかも。エマの歌や演技が悪いわけではないが、もっとミュージカルの歌声を重視していれば、この作品は何年後も"名作"としてたくさんの人が観るものになっていったと思う。
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