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ラ・ラ・ランドのharu3uのレビュー・感想・評価

ラ・ラ・ランド(2016年製作の映画)
4.0
ハリウッドを舞台に、四季の移り変わりと共に夢を追いかける男女の物語。
“LA LA LAND”なんてふざけた題と思っていたら、ちゃんと意味があるそうで。①カリフォルニア州ロサンゼルス(ハリウッドの暗喩)、②現実離れした世界・夢の国、③現実から乖離した精神状態、を意味するとのこと。

名もなき夢追い人たちで大渋滞のハイウェイで、突如皆が踊りだす “Another Day of Sun”に一瞬で心掴まれたのを覚えています。ポスターにも使用されているロマンチックな夕焼けのシーンも、踊りだす直前にタップシューズに履き替えたりと、ウィットに富んでいて可愛くてにっこり。
中盤は少々中だるみに感じたり、主役ふたりの夢が案外薄っぺらく思えたりも。ふんだんに散りばめられていている過去のミュージカル映画のオマージュすら、天邪鬼な私には、アカデミー会員へのアピールかしらとあざとく感じました。
しかし前作『セッション』と同様、ラストへ向けて畳みかける圧倒的な熱量に、些細な引っかかりなんてねじ伏せられてしまう。

一握りの人間しか掴めない夢を叶えたとしても、一瞬一瞬を悔いなく生きたとしても、そこに行きつくまでの選択全てを肯定することは難しいんでしょうね。夢の代償に失ったものがあまりにきらきら煌めいていて。
手に入らなかったものこそ美しく見えるって。分かっていても、切ないですね。
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