キャプまる

ラ・ラ・ランドのキャプまるのレビュー・感想・評価

ラ・ラ・ランド(2016年製作の映画)
3.7
最初の高速道路のシーンでつかみが良いと思ったし歌もおしゃれで良かったが、そこからの展開が少し長く感じた。
ミアがパーティーに行くシーンのミュージカルシーンは色使いも良くてドレスをひらひらさせるなど動作も良かったし、セブとミアの丘の上でのダンスも良かったし、セブとミアのデュエットも良かったがそこだけかなと思った。ミュージカル映画なのにミュージカルシーンが中盤以降あまりなく、ストーリー展開も微妙、というかラストありきの展開に感じられた。
ミアがあれだけ演技が下手というのを表されていたのになぜ急に成功できたのかというのもいまいち納得できないし、痴話げんかのときのセブに対するミアの言い分もただの寂しさから出た言葉で、夢を追いかける者同士の理解の欠片も見られないので「夢を追う者同士だから理解できて惹かれあったんじゃないのか」となる。
セブとミアが夢を追いかける者同士だからこそ惹かれあったから、もう夢を追いかけなくなった(夢が叶った)時には、お互い夢から覚めるように(夢のために)別れるというのはわかるが、だとしたらラストの夢想シーンに感じるものが不純物が混じったような切なさになるのではないか。
夢から覚めたというのは、中盤で夜にデートした天文台を昼間訪れて、ミアが最悪の景色と言ったことに表れている。お互い冷めたという演出をするならラストシーンでもしもの未来を夢想するのが「冷めてたのに未練あったのか…」となるし、夢想するシーンは良いけれどそれなら別れる際にもっと未練が残っているのを表して欲しかった。お互いがいたからこそ成功できたのに、それについては何も触れずに、5年ぶりに会ったらお互いもしもの未来を夢想してアイコンタクトだけでまた別れる…。切ないシーンとしては最高だがもっとお互いの成功を喜んだり褒めたたえたりしてもよさそうなのに、あの切ないラストに持っていきたいがための強引な展開。それで夢を持つすばらしさや残酷さを語られても…となる。
脚本なり演出なりでもっと自然にそうなっても仕方ないなと説得力のある過程にすれば間違いなくアカデミー作品賞をとれただろうに非常に惜しい。
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