空から見下ろす荒涼としたインドの大地。
そこを駆ける少年サルー。
蝶と戯れる弟を見る兄グドゥの優しい眼差し。
サルーの澄んだ瞳が、大地と家族に愛されている事を物語る。
母、妹、家族の為に自分も…そんな優しさと好奇心が彼の運命を変える。
1600キロ離れたコルカタ。
大都市で翻弄される子供達の一人になってしまったサルー。
そんな彼をオーストラリアの美しい海と大地、引き取った夫婦の愛情が包み込む。
穏やかで幸せな日々に埋もれていた記憶。
目に映った一つの揚げ菓子がそんな日常を打ち砕く…
奇跡…
どこまでが事実かは分かりませんが…
細い記憶の糸を頼りに故郷を探す。
考えられない偶然。
そう、確かに奇跡だ。
しかし、葛藤、後悔、郷愁、育ててくれた養父母への思いが炎となってサルーの胸を焦がす。
インドの家族はどうしてるだろうか…
自分だけが幸せになってるのかもしれない…
想像しか出来ない恐ろしさ。
現実が分からないことがサルーの心を引き裂く。
決して甘い奇跡の話ではない。
苦しみながらも必死に答えを探す物語である。
養母スーを演じるニコール・キッドマン。
語られる彼女の物語が、涙を誘う。
引き取った子供を精一杯の愛で育てる姿、心配する姿はまさしく母。
ルーニー・マーラの控えめながらもしっかりと自分を持った女性。
儚げな笑顔と美しさ。
そんな彼女の存在は、間違いなくアクセントになっている。
そして、幼いサルー役の少年。
彼の愛らしさと、可愛い声、透き通るような瞳。
「母ちゃん」「グドゥ」と呼ぶ声がもう…
序盤は、何度やられたか分からない。
終盤、流れ続ける涙。
エンドロールでかかるsiaの「never give up」がとんでもなく良い。
鳥肌ものでした。
そして、最後まで席は立たないでくださいね^_^
朝、頑張って9時前に劇場に行った甲斐がありました。
良作です(*´∀`*)