うめ

LION ライオン 25年目のただいまのうめのレビュー・感想・評価

4.3
空から見下ろす荒涼としたインドの大地。
そこを駆ける少年サルー。
蝶と戯れる弟を見る兄グドゥの優しい眼差し。
サルーの澄んだ瞳が、大地と家族に愛されている事を物語る。
母、妹、家族の為に自分も…そんな優しさと好奇心が彼の運命を変える。
1600キロ離れたコルカタ。
大都市で翻弄される子供達の一人になってしまったサルー。
そんな彼をオーストラリアの美しい海と大地、引き取った夫婦の愛情が包み込む。
穏やかで幸せな日々に埋もれていた記憶。
目に映った一つの揚げ菓子がそんな日常を打ち砕く…

奇跡…
どこまでが事実かは分かりませんが…
細い記憶の糸を頼りに故郷を探す。
考えられない偶然。
そう、確かに奇跡だ。
しかし、葛藤、後悔、郷愁、育ててくれた養父母への思いが炎となってサルーの胸を焦がす。
インドの家族はどうしてるだろうか…
自分だけが幸せになってるのかもしれない…
想像しか出来ない恐ろしさ。
現実が分からないことがサルーの心を引き裂く。
決して甘い奇跡の話ではない。
苦しみながらも必死に答えを探す物語である。

養母スーを演じるニコール・キッドマン。
語られる彼女の物語が、涙を誘う。
引き取った子供を精一杯の愛で育てる姿、心配する姿はまさしく母。

ルーニー・マーラの控えめながらもしっかりと自分を持った女性。
儚げな笑顔と美しさ。
そんな彼女の存在は、間違いなくアクセントになっている。

そして、幼いサルー役の少年。
彼の愛らしさと、可愛い声、透き通るような瞳。
「母ちゃん」「グドゥ」と呼ぶ声がもう…
序盤は、何度やられたか分からない。

終盤、流れ続ける涙。
エンドロールでかかるsiaの「never give up」がとんでもなく良い。
鳥肌ものでした。
そして、最後まで席は立たないでくださいね^_^

朝、頑張って9時前に劇場に行った甲斐がありました。
良作です(*´∀`*)
うめ

うめ