Yoshmon

LION ライオン 25年目のただいまのYoshmonのレビュー・感想・評価

3.8
失礼ながら世界仰天ニュース程度で取り上げるには勿体無い、映画として作品になって良かった実話。

インド旅行/出張の体験談を聞くと、
よく言われるのが人の多さ。
高い人口密度。
どこへ行っても人人人。

さらには民族の多様性、
深刻な貧困格差(最たる例はカースト制、男尊女卑社会)、
そして広い国土。

そんなインドならではの出来事。

目を覚ましたら、言葉も異なる地(コルカタ)にたった1人になる五歳の心境とは計り知れない。

***
この作品で1番驚いたのは、その後の主人公サルーを養子として迎えてくれたオーストラリアの養母養父の存在。

特にニコール・キッドマン演じるスーの語る価値観には強烈な印象を受けた。
自分の子供を持つことも選択できたけれど、そうしなかった。
”世界には大人の愛や助けを必要としている子供たちがたくさんいる。それを14歳のある日に目にしたビジョンに現れる茶色い肌の子どもが教えてくれた。”と。

異国の言葉も通じない子どもを養子として我が子として愛情を注ぐ。
崇高という形容は、この行為のためにある。

このような行いが生まれるのは移民によって形づくられるオーストラリアならではの国風からか。

異国の子どもを愛せるのは、言葉の壁があるからこそ”行動”により積極的な”愛”を示せるからか。

デヴ・パテル演じるオーストラリアに生きる大人になったサルーを見ていると、愛と環境が人を形作るものだと改めて知る。

実の親と生き別れたことは悲運ではあるけれど、素晴らしい養父母と出会えたことは奇跡であり幸運なことだったと思う。

オーストラリアでの人生がなければ、文字の読み書きやインターネットを使いこなせるようになる教育を受けられず、実の母親の元へたどり着くことは出来なかったかもしれないから。

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しかしインドに広がる世界観に、はっきりとした理由は分からないが、惹かれる自分がいる。
きっとインドには”原点”があるからかな。
早くインドへ行きたい。
Yoshmon

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