べえさあ

LION ライオン 25年目のただいまのべえさあのレビュー・感想・評価

4.0
“...the world has enough people in it”
「世界は人で溢れている」

先日金ローで放送されていたので再鑑賞。

壮絶な人生です。サルーとサルーをずっと探し続けていた兄と母の気持ちを考えると胸が締め付けられました。現実にこんなことが起こり得るのかと、感動と悲しみが混ざった気持ちになりました。

サルーを引き取る夫婦がなぜ子供を産まず養子をもらうことを選んだのかという理由を伝えるシーンもとても感動的です。違う理由だと思い込んでいた自分が恥ずかしくなりました。

サルーが感じていた気持ちとは比にならないと思いますが、私も小さい頃に住んでいた地域をGoogle Earthで見て何とも言えないノスタルジックな気持ちが込み上げてきて自然と涙が流れてきた時のことを思い出しました。Google Earth、素晴らしいサービスですよね。

劇中インド人同士で話が通じないシーンがありますが、インドでは大きく22種類の言語が使われています。同じ国民で見た目に違いは見えないので始めてその光景を見た時は違和感でした。

映画の最後に示される「毎年インドで行方不明になる子どもは8万人以上にのぼる」というデータも衝撃です。その後タイトルである「ライオン」の意味も明かされます!

ここからはあまり映画とは関係ありません🙃
去年始めてインドに行った時、カーストの風習がまだ根深く残っていたことが印象的で、当たり前ですがそれ以外にも宗教、言語、食文化、街並み等全てが日本と違くて驚きでした。綺麗なホテルに泊まっても、車で数十分移動すればスラム街です。

電車にドアも付いていないのに東京都内の通勤ラッシュ時以上に人でパンパンになっているのは見ているだけで恐ろしいです。現地の人に聞いた話だと、インドで電車で亡くなる人は年間で約3万人以上だそうです(日本の電車での年間人身事故件数は1000-1200件・死者数300-400人。インドと同じ人口規模に調整したとしても遥かに少ない)。なので夫が仕事へ行き、家へ帰ってこないと思ったら電車事故で死んでいたなんてことは珍しくないと言っていました。日本で生まれ育った人には考えられない環境ですね。

インドのような国に行くと日本の平和さを改めて感じます。直接行って感じるのとはまた違うかもしれませんが、そういったことを考えさせてくれたり、世界観を広げてくれるのも映画の好きなところです。