千利休

LION ライオン 25年目のただいまの千利休のレビュー・感想・評価

-
掴みは完璧。オーストラリアへ行くまでの約40分間は素晴らしかった。インドの街並みはどこか冷たく、油断したら大変なことになりそうな雰囲気が上手に作り出されていて、鑑賞者もまぁまず帰れそうには思えないだろう。ただそれ以降が弛んでしまった(あとは主人公のあまりの運の良さについていけなかった)。とはいえそれは仕方がないことだとは思う。原作は読んでいないけれどもドラマになりそうなのがほぼ"行き"だけなのは予想がつくし、意外と全体的には描くことがないのだろう。御涙頂戴にするのはなんか違うし、作り話は避けるべきだ。そうなったら主人公の精神世界を展開するしかない。だから半ば仕方はないのだが、オーストラリアでもシリアスな事件の一つでも起きていたら面白かったかもしれない。とにかく、今後のガース・デーヴィス作品がとても楽しみになった。
千利休

千利休