らいち

バトル・オーシャン 海上決戦のらいちのレビュー・感想・評価

3.0
新作DVDレンタルにて。
2014年、「アナ雪」に沸いた日本の隣で、文字通り歴史を塗り替える大ヒットを飛ばした映画。観客動員数は1500万人を超え、人口5000万人の韓国市場からすれば、5人に1人以上が観に行ったというバケモノっぷり。面白い、面白くないに関わらず「必ず観なければ!」と思っていたが、案の定、DVDのみのリリース。まー納得。
映画は、豊臣秀吉による日本の朝鮮侵略(文禄・慶長の役)を撃退した李舜臣(イ・スンシン)を描いた時代劇。李舜臣は韓国では有名な歴史的英雄らしく、わずか12隻の船で、300隻に達する日本の水軍に対抗したという。そのあらすじは事前に知っていたので、「スリーハンドレッド」みたいな痛快アクションを期待していたが、か なり泥臭い攻防で少し面喰った。描かれる李舜臣は、かなり無鉄砲な武闘派で、策略を練ることよりも肉弾戦を好むように見える。戦いの中で自らの勇敢さを魅せることでカリスマ性を発揮するのだが、素質として備わる人間性の魅力は思いのほか乏しい。
監督は「神弓」で知られるキム・ハンミン。動きのもたつく水上での船対船の攻防にあって、ケレン味をたっぷりに使い、ダイナミックな映像に仕上げる手腕は評価して然るべきだが、演出上、やむなしと思われるツッコミどころも目につく。痛みを伴うリアルなアクション描写はさすがといったところ。残酷描写も少なくないが、そんな本作が国民的ヒットになる韓国映画ファンの逞しさを感じたりする。
韓国での公開時、「抗日的」な映画と噂されていたが、思った ほど嫌な偏りは感じられず。日本人の役を韓国俳優が演じているからか、良い意味で嘘っぽいのだ。歴史劇というよりはファンタジーに見えたため、日本人がどう描かれようが抵抗感はない。ただし、最後の最後まで、なぜこの映画が韓国で爆発的にウケたのかよく理解できなかった。クオリティレベルの高い韓国映画のなかでは、人物描写しかり、展開の構成しかり、脚本が見劣りする出来栄えで、途中何度も集中力が切れた。
【60点】
らいち

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