けーはち

orangeのけーはちのレビュー・感想・評価

orange(2015年製作の映画)
3.1
10年後の自分からある転校生を救えと手紙が届く。SFファンタジー少女漫画の実写映画化。

★少女漫画原作だけに、JKが連れ立って観に来るようなカジュアル恋愛邦画。眼から光の消えたおじさん達には“not for me”な映画だが、気にするこたぁないんだ。客席JKのキャピキャピ反応もまた我々にとってはコンテンツの一環である。何しろイケメンが画面にデデーンと出たら「はわわーっ!キャーッ!ヒャーッ!」だし、イケメンに迫られる恥ずかしいシーンが現れた日にゃ、某ニンジャが出て殺す小説のごとく「ヌゥーッ!イヤーッ!グワーッ!」と沸き立つ。『マッ怒(略称)』における「V8!V8!」「witness me!!」より随分、こっちの方が楽しい。たぶん、『一週間フレンズ。』辺りも、同じ路線の映画になるんだろうなぁ。

★ストーリーは「選択肢を誤ると死を選ぶメンタル豆腐彼氏の攻略法が、10年後の自分から手紙で送られてきたので、うまく地雷を避けて彼氏を生き延びさせ、恋愛成就させる」という乙女ゲーみたいなものだと捉えたら良い?(乙女ゲーって大体メンタル豆腐イケメンの“介護”ゲームだってね?)

★実際、コイツら面倒クセェ〜っていう局面が多々あるし、高校男子が多少ツラい境遇にいたところで、彼らが感じる希死念慮なんて、可愛い彼女がいれば霧消するもんじゃないのかね。いや、それでは少女漫画は成り立たないんだ。イケメンは生まれたての子鹿のようにヨチヨチ歩きの弱い生き物なんだ。古典的な、先輩のイジメとかスレ違い劇とか、そういうのを克服して一歩ずつ距離を縮めて行かなきゃいけないんだ。

★どうでもいいけど、主演、土屋太鳳って名前は、イカツいな。相撲取り(大鵬)とか装甲空母(大鳳)の名前みたいだ。『まれ』の主演だったみたいで声質等の問題で神経質さはあるが演技は悪くない。黒髪も伸ばしっぱなしで美少女然としていない、若干コスプレ感もあるが芋なJK度合は良いなあ。

★SF(すこし・ふしぎ)要素を含みつつも、愛で命を繋ぎ止める青春群像劇が、繰り広げられる。眼の曇ったおじさんには眩しい(またそれか)が、こんな青春があったら良かったのに、こんな彼女がいたら死ぬことないのに、などとみじめな想いを馳せつつ見よう。