MasaichiYaguchi

ピートと秘密の友達のMasaichiYaguchiのレビュー・感想・評価

ピートと秘密の友達(2016年製作の映画)
3.8
いよいよ今年も押し迫り、年末年始向けの映画が次々と公開されている。
目玉になりそうなのが、「スター・ウォーズ」のスピンオフ版「ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー」だと思うが、同じウォルト・ディズニー配給ながら余り宣伝もされてなく、この目玉作品の翌週に大作や話題作に挟まれて公開される本作は、このまま埋もれさせるには惜しい気がする。
本作は1977年にディズニーが製作した日本未公開のミュージカル映画「ピートとドラゴン」をリブートしたもの。
物語は、孤独な少年ピートとエリオットと名付けられた“秘密の友達”との絆を、緑豊かな森を舞台にファンタスティックに描いていく。
この作品で“秘密の友達”をはじめとしたVFXを担当しているのが、「ロード・オブ・ザ・リング」シリーズ3作を手掛けたWETA。
WETAが視覚効果を担当したからなのか、本作の撮影地は「ロード・オブ・ザ・リング」や「ホビット」と同じニュージーランド。
映画では、このニュージーランドの豊かな自然が活かされ、自然と人間との共生というテーマも盛り込まれている。
本作で描かれる少年ピートとエリオットの関係は、過去の名作「E.T.」や「ネバーエンディング・ストーリー」、そして「ヒックとドラゴン」で描かれたものと重なり、またこれらの作品の名場面を彷彿させるものも本作には登場する。
この作品は、このような名作のエッセンスを網羅したファミリームービーだが、単に子供向けファンタジーというだけでなく、大人の鑑賞にも堪えられるようなテーマ性を持つ内容となっている。
その大人の鑑賞に堪えられる作品にレベルアップさせているのがキャストたちの演技。
数万人の子供たちからオーディションでピート役に選ばれたオークス・フェグリーや、ピートとエリオットを見守る父娘、ミーチャム役のロバート・レッドフォードとグレース役のブライス・ダラス・ハワード、彼らの演技で紡がれる絆のドラマが、年末の忙しさで疲れた人や、年始に家族と共に過ごしたい人の心に癒しと温もりを届けてくれるような気がする。