Halow

悪意の眼のHalowのネタバレレビュー・内容・結末

悪意の眼(1962年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

仕事でドイツへやってきたフランス人の男が近所の裕福な夫婦に異様な執着をする話。

彼は夫婦に成り代わることを欲するが別段嫉妬しているわけではないらしく、かといって友情を感じているわけでもない。
自分の他の人間が夫婦に招かれると激しく怒り、泳げないことを隠して海までついて行って醜態を晒したかと思えば、その心理的劣等感を解消するために夫婦の車をこっそり壊して直すという自作自演まで実行する。
夫婦の言動に一々大袈裟な反応をする彼の言動がことごとく笑え、一種のコメディなのではないかとさえ感じた。

彼の執着の原動力はあまり明らかにされないが、見ていると「もしかして構って欲しいだけなのでは」という気がしてきて、実際愛着障がいを疑わせる述懐があったりする。

最終的に彼は勝手に夫婦に失望した挙句、計略を仕掛けて夫婦を崩壊させるのだが、それでも「これは自分のせいだ!」という主張さえ無視されて、しまいには「興味がない」とさえ言われる。こんな形でさえ夫婦に関係することを拒絶されるこの展開はアイロニーが強烈であり、印象に残った。
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