えいがのおと

二重生活のえいがのおとのネタバレレビュー・内容・結末

二重生活(2016年製作の映画)
3.7

このレビューはネタバレを含みます

最終的な、言葉の解説がないと流石に分からない作品
門脇は尾行するという、リリーは妻のいるという、長谷川は不倫という、通常とは別のもう一つの生活がある
そんな、二重性に門脇は、尾行という行為で相手と重なることで、彼女は底にある空虚感を埋めることができる
しかし、その行為は自身にとっては利益となるが、被験者にとっては、実存において重要な秘密が奪われてしまう、致命的なものである
長谷川は、門脇との間にある種の秘密を生み出すが、リリーは全てをさらけ出した結果、命を落とすことになる
という構造は、なんとなく理解できたが、菅田の役に対しては中々解釈が難しい
例えば、尾行のシーンで印象的だったのは、長谷川を追う門脇の主観カットに加えて、門脇を含めた客観カットが多用されている
中盤、ホテルから出てくる二人を不審な男が眺めているカットがあるが、そうした、客観カットを彼の目線としてみると、さらに二重性に説得力が増す
しかし、それを菅田とする論拠は中々難しいが、例えば最後に描かれた、門脇の寝顔の絵が象徴的に、菅田と門脇の関係において、観る/観られるの関係が成り立っていることを暗示しているとも取れなくはない

そうした考えを一旦保留して、客観カットや、防犯カメラの映像の存在から、物語における尾行を考慮すると、映画というものの、尾行性、また、それが我々の自慰的行為であることの指摘ともとれるかもしれない

早稲田大学での試写であったが、辛酸さんのコメントが面白かった
尾行というより、変な人を見るということは、誰もがする行為だと思う