Hailey

優しい嘘のHaileyのレビュー・感想・評価

優しい嘘(2014年製作の映画)
5.0
全てのことには理由が存在する。そして全ての関係や行動は連なって影響し合っている。毛糸玉のしがらみの中の一つ一つの言葉が残酷に刺さりながらも包み込まれるような温かみと訴えを持っていて涙がこぼれた。天使のような優しさに満ちたチョンジが愛おしくて抱き締められるのなら抱きしめたいと思わせた。彼女は決して自分のために死んだのではなかった。チョン・ウヒは物語上主要キャストとまでは言えないのかもしれないが、確実に必要なキャストとして無視できない存在感を放っていた。ユ・アインはコミカルな演技で和ませるだけでなく、作品に深みを与えてくれた。家族であるという距離感は隙間なく近いがそこには見えない究極に優しい嘘がある。そのわずかな距離が家族であるという証である。家族や親友、近いほど愛し近いほど突き刺す。私たちは恐ろしく愛おしい互いの存在に支えられている。暗く重い映画だと言う人が多いだろうが私にはそこまで暗いとは思えなかった。そしてむしろここまで重くなかったならこの題材をここまで秀逸に作り上げることはできなかっただろう。ラストの5つ目の手紙の行方には感動して涙が溢れ出た。一瞬も見逃すことのできない映画だった。彼女たちはもはや子役ではなく、完全に実力勝負の演技派女優として全員が素晴らしい演技を見せてくれた。そして強い社会的メッセージを持っていながら、ただあからさまに同情にならず全ての人物に寄り添うようにして描かれていた。映画はハッピーエンドで終われば良いが、現実はどこまでも続いていく。無理矢理ハッピーエンドに持ち込む映画は少なくないが綺麗事でしかなく失望、軽蔑さえしてしまう。しかしこの映画はハッピーエンドであり、その後をも描き上げた。映画として終わらせないメッセージの強さを見た。
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