ふっこ

たかが世界の終わりのふっこのレビュー・感想・評価

たかが世界の終わり(2016年製作の映画)
4.5
劇場公開を逃してずっと観たくて、でも渋谷のツタヤではDVDレンタルが1年ぐらい準新作の棚にあってなんとなく旧作になるの待ってたらそのうち渋谷から離れてしまって結局借りずじまいだった。
でもいま観てよかった。ルイを演じたギャスパー・ウリエルその人が既にいなくなったことを重ねてしまう。

作品説明のあらすじも目に入れず、そして冒頭のシーンでルイがなぜ故郷に帰るのかを明確に語っているのにもかかわらず、本当になぜかその理由まで頭からすっ飛ばしてしまったので、ルイは家族にいったいなにを話すのだろうと無駄にドキドキしていた。謀らずも、知ったあとには得られない貴重な謎解き視点で観ることができた。
ギャスパー・ウリエルの顔がとても好きだったので永遠に見ていたかった。
兄の拳の傷が喚起させる状況は想像できたけど(彼が家族に困惑を招く異物の弟を追い出して家族を守りたかったという説は支持しない。ただの短慮で未熟なクズだと思う)、オープニングのタクシーの後ろの空に飛んでいく赤い風船2つのフォーカスの意図はわからない。
いま自分の家族構成が、父が亡くなり母+3きょうだいなので身につまされすぎて、観ている間はなるべく感情を外に置いてたけど、エンドロールのMOBYが懐かしすぎて泣いた。

最近は消費と情報・記録入手が目的になっているような映画の見方をしてたけど、観終わったあとに鈍い重りを残してくれる鑑賞体験ってやっぱりなにものにも代え難い。
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