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屍者の帝国のodyssのレビュー・感想・評価

屍者の帝国(2015年製作の映画)
3.5
【クライマックスが惜しい】

伊藤計劃の未完の遺作を円城塔が完成させた原作のアニメ化。ただし私は原作は未読。

19世紀後半の英国を主舞台に、死者をよみがえらせる技術の秘密をめぐって、科学者と国家などが葛藤しつつスリリングな劇を展開する。

ワトソンだとかフライデイだとかアレクセイ(アリョーシャ)・カラマーゾフだとか、どっかで聞いた名前が主要登場人物として出てくるのだが、どうもこれは単なる遊び心からではなく、世界名作の人物を借用しつつ、真剣なパロディを目指した作品ということらしい。

人造人間と言えば、かのシェリー夫人の創作になる『フランケンシュタイン』が有名だが、人造人間を作ったフランケンシュタイン博士の名も本作には登場する。それどころか、彼の作った人造人間の秘密を書き記したノートこそ、本作の最大の鍵なのである。

というわけで途中までは結構面白いと思っていたのだけれど、クライマックスになるとやや大ざっぱでありきたりになってしまうのが残念。

なお、最後まで席を立たないようにしましょう。
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