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チャック・ノリス vs 共産主義のperoのレビュー・感想・評価

4.0
チャウシェスク独裁政権下のルーマニア。普段のテレビは検閲が入り映画をズタボロにカットして放送していた。閉ざされた国で秘密裏に出回っていた海外の海賊版ビデオ。新車が買えるほど高かったというビデオデッキだがビデオデッキのある家では上映会が開かれていた。
ビデオデッキが復旧し始めた80年代、それはボンクラ映画の黄金期でもある。
シルベスタ・スタローン、アントニオ・バンデラス、ブルース・ウィリスにチャック・ノリス。エクスペンダブルズな人たちがピチピチで腰の痛みも離婚の痛みも無かったあの時代。
私たちと同じように独裁政権化の小さなテレビの画面を子供たちが食い入るように見ていた。
そこで知った自由がチャウシェスク政権を倒すとも知らずに…
この映画はその映画を地下で配給して、禁酒法時代のアル・カポネのようになった男と翻訳解説の音声を入れていた女性が軸になり、秘密警察や政府高官なども登場し映画以上のスリルとサスペンスとドラマがある。
異文化を知る事で私たちは自分達の文化を俯瞰で見れる。
人々は映画を見る事で自分の国はおかしいと気づき、それが大きなうねりとなり政権を倒した。
この映画を見てfacebookで拡がったアラブの春運動を思い出した。
人の好奇心に戸は立てられない。
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