こういう海洋アクションでも東宝や日活と違って、どこかローカルチックで狭い場所で展開しているような物語構成がいかにも新東宝らしい一作。

肝心のアクションではおすすめポイントは無いけれど、万里昌代と三原葉子という二大新東宝ヒロインが全編にわたって活躍しているのが最大の見所。和服姿で情に厚い三原葉子もいいけれど、それ以上に男勝りで自ら先頭に立ちライフル担いで漁に出かけオートバイを乗り回す万里昌代のかっこよさに魅了される。そんな一見じゃじゃ馬っぽい彼女だが、実は心の優しい女性であとオートバイの手入れを欠かさずに自分で行うのも高ポイント。そんなギャップ&セクシーな服の万里に主人公の宇津井健がひかれて彼女と結ばれるのも納得。

宇津井健の裸踊りというレアシーンも見物。

　「海豹（あざらし）の王（キング）」と読むそうである。見終わってみると、意味があるようには思えないタイトルである。

　対立する漁師チームの間に風来坊が……というお馴染みのアレだが、まあ宇津井健にこういう役は合わないだろうとは見る前から予想できていたのだけれど、万里昌代（踊りが素敵）と三原葉子のダブルヒロインがいまひとつ魅力的に描かれないのが痛い。あと、シーンによって妙な省略が行われることがあり（味方側の老人が海で襲撃されるシーンなど）違和感を覚える。
　敵対する漁師チームの本拠に宇津井健が乗り込んでいって、親玉を長々詰めるシーンは、建物内を横切るカメラワークといい、長回しといい、驚きがあってよかった。