bibliophage

彼女が目覚めるその日までのbibliophageのレビュー・感想・評価

彼女が目覚めるその日まで(2016年製作の映画)
4.0
この映画の日本のサイトを、映画を見た後で読んで、まったくイメージと会わない(そっちに引っ張らなくても…)解説が書いてあるので、まだ見ていない方は読まない方が良いと思う。

「彼女が目覚めるその日まで」というタイトルに引っ張られてはいけない。彼女がこん睡状態で何年も、彼氏が献身的にどうこう、ってな映画ではない。

原題は Brain of Fire、このタイトルもダイレクト過ぎないかな、と心配になる。

ニューヨーク・ポスト紙に勤めるスザンナ。最初は左手、左足が痺れ、たまに音が聞こえ難くなる。めまいがして、ふらついて、仕事をしていても辛くなってくる。当然、脳卒中などの脳の病気が疑われるがMRIを撮っても何も無し。

そのうち、躁鬱な状態、奇声を上げる、分裂病などの精神病的な行動が増え、痙攣を起こすようになる。

ついには一人暮らしができなくなるのだが、スザンナの両親は離婚していて、それぞれに家庭がある。母親と同居しても、父親と同居しても娘の変わり方の手を焼いてしまう。そして入院。

何人かの医者に調べても調べても原因がわからない。医者は自分の理解できる病名へと逃げてしまう。

精神病院へ転院させるか、というぎりぎり、両親は病気の原因があると信じて医者を説得してさらなる検査を。そして、…

もっとドラマチックに泣かせる映画にもできただろうが、トーンは非常に淡々と、さらりと回避してしまう。さらり、すぎる!?

全編、病気に苦しむ彼女を見ていて、「早く倒れて助けてもらって」「誰かに病気を気づいてもらって」とどきどき、ひりひりしながら見ることができた。

ニューヨーク・ポスト紙という職場の寛大さ、(契約かもしれないが)上司のスティーブにホッとさせられた。こちらも、大げさな演出はない。

クロエちゃんの映画だから点数が甘いかもしれないが、彼女の病でだんだんと変わって行く様は熱演だと思った。クロエちゃんの大人のしぐさにどっきりすることができる。(あのペン欲しい!)
bibliophage

bibliophage