Iri17

マドモアゼルのIri17のレビュー・感想・評価

マドモアゼル(1966年製作の映画)
5.0
抑圧された欲望の解放がもたらす狂気的な性愛と暴力。
抑え込まれた性衝動の解放としての洪水の象徴性(下ネタ失礼!)や、燃え上がる性愛を炎で表現している演出は素晴らしい。

不気味さの背後にあるエロティシズムとバイオレンスが一気に溢れ出る終盤は圧巻。こんな映画観たことない唯一無二の作品。

純粋なマドモアゼルとして貼られたステレオタイプが、彼女の人間的な欲求を抑制したわけだが、これはまさに現代の日本社会にも通ずる部分がある。
無関係な人間が他人の不倫問題を糾弾し、アイドルから恋愛の権利すら奪う。これは清純派タレントは浮気などしないものだ、アイドルはキスやらセックスやらはしないものだという現実離れした純潔主義を求め、そこから外れる行動をした人間は徹底的にネットでリンチする。
まさにマドモアゼルに純粋さを求めた村人、マヌーをリンチした村人は、現代日本の大衆にそっくりだ。

圧倒的な恐怖と狂気がありながら、現代にも通ずる普遍性を有する大傑作だった。
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