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サクラメント 死の楽園のSSDDのレビュー・感想・評価

サクラメント 死の楽園(2013年製作の映画)
3.4
■概要
独自の取材で報道するVICE社に務める男性は薬物中毒の妹がいた。ある日妹が脱薬物治療のためにある集団で治療を行っていることがわかり、番組スタッフと共にその集団を取材しようと試みる。

■感想(ネタバレなし)
実在したカルト"人民寺院"モデルの集団をモキュメンタリーとして突撃取材をするというタッチで描く。

Netflixでの"カルト教祖になる方法"でかなり詳しく取り上げられ2話は人民寺院にクローズアップしているため、この作品の元となった実話を知ることができる。

"エデン教区"と呼ばれる人里離れた場所で文明と切り離し、人々は穏やかな生活をし、インタビューも快く応えているが徐々に違和感のあることが増えていく…。

割と緊迫感のある作品ではあったもののスケールやら諸々予算が足りなかった感は否めない。
モデルケースに興味がある場合は本作を観てから、調べる方がいいだろう。









■感想(ネタバレあり)
・描かれるのは人民寺院の末期
人民寺院はかなり巨大化していくのだが、教祖ジム・ジョーンズは満足しない。その上無茶苦茶なことをするのだが、優秀な幹部達の尻拭いにより全てが隠蔽されてきた。しかし脱退者に暴露された内容がメディアの的になり、一切の財産を奪うやり方や、インチキ奇跡などが暴かれ落ち目を迎える。
その際にロサンゼルスに行こうと集団移動していたが、司法の届かない南米の財政難の国に金の力で移住する。
ジョーンズタウンと名付けたその楽園は実際に何もなく強制的に武装教徒に見張られながら満足に眠らされずに働かされる狂気の場所だった。
本作でも3時間しか寝ずにという触れ方をしていたが、逃げることは許されなかった獄中施設のようだった。

町に行った家族から連絡がないということで、政府から議員と取材班が向かうことになる。
そこで宴を催しジョーンズはさも問題ない様に振る舞うが信者の一人からメモを受け取り事態は急変。

議員と共にかなりの数の信者の帰郷を許すとジョーンズは認めたが気が変わり虐殺した。

・実際の死者数は900を超える
服毒死は洗脳された者たちでほとんどは銃殺だった様子。
折り重なる死体から数が把握できず日を追うごとに死者数は増えていった。
独裁的な力を持つと人は死という絶対的なものに魅力されるのだろうか。その数を競うかごとく他者から奪うのは歴史上変わらないのは、人間に組み込まれた加虐性なのだろうか。

・総評
末期から描いたことで荒唐無稽に見えてしまうかもしれないが、実際ドキュメンタリーとしての人民寺院の所業もなぜ罷り通るか理解できない事実ばかりだ。
人は何かにすがり1人では生きられないのだから今後宗教の根底を変える要素がない限り、問題は生まれ続けるだろう。

・個人的思想
ここからはつらつらと思うこと。

私個人としては国内においては、創設から数十年以内の組織については宗教の非課税であることの撤廃。
これをするだけで宗教法人化のメリットと新規参画の障壁を上げることで少しでもカルトの抑制化に繋がる可能性を考えている。課税により運営資金を信者という顧客から賄う必要が出るが、それに対しての一律の規定を設けて課金制度などの縛りを付けることで一定量の過度な財政力を持たせないようにするだけで、変わるはずだ。もちろん、宗教法人化をせずに抜け道を作るだろうが法は万能ではない。その穴を埋めるイタチごっこをするほうがマシだ。

次にAIが膨大なデータを使ったディープラーニングが最適化することが本当にできるならメンタルセラピーの代役を担い、精神的に安寧をデジタルに見出す可能性を感じる。常に必要な時に回答をする、デジタルな神が生まれることがありえるのではないかと考えている。
なぜならデジタルであれば疲弊せず、常に必要に応じたことを返すことができる可能性があるからだ。
chat GDPはその可能性を示唆した。
使い方を変え、メンタルケアに特化したものを作り信仰する団体を作る。SF的だがあり得ないこととはもう思えなくなってきた。
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