無名のひと

ボヴァリー夫人の無名のひとのネタバレレビュー・内容・結末

ボヴァリー夫人(2014年製作の映画)
2.8

このレビューはネタバレを含みます

舞台は19世紀のフランス。
修道院で暮らしているエマは、医師であるボヴァリーと結婚し、ヨンヴィルの村へ引っ越してきた。
エマは夫のために料理を作るが、使用人にやらせるのが習わしだと言われてしまう。
ある日、訪問販売のルウルーがやってくる。
エマは夫に相談してからでないとと断り、ルウルーはカタログを置いて帰っていった。
夫の友人、薬剤師のオメーと法律家のレオンと夕食を共にする。
エマはレオンに、結婚に夢を見ていたが思っていたのとは違ったと話す。
夫が往診で不在の時、レオンが訪ねて来てエマを散歩に誘う。
そこでパリの地図を贈られ、幼い頃地図を見ながら出掛ける想像をしていた思い出を話す。
ふたりは次第に惹かれあい、レオンはエマに告白をする。
しかしエマは、人妻だからと言ってレオンの想いを断るのだった。
レオンはルーアンへ旅立ち、再び退屈な日々に逆戻りしたエマは、結婚生活の不幸を嘆く。
ある日、侯爵から狩りに誘われるボヴァリー夫婦。
この時から、ドレスやカーテン、調度品などを次々に購入するようになる。
侯爵から誘いを受けたエマだが、この時は彼の想いを断るのだった。
しかし、侯爵が忘れていった葉巻入れを届けに行き、とうとう一線を越えてしまう。
ボヴァリーは、エマがすすめていた難易度の高い足の手術をすることに。
しかし、術後に誤診で違う腱を切ってしまったことが判明する。
壊死してしまえば切断する他ない。
夫に幻滅したエマは侯爵のもとを訪れるが、愛があったわけではない侯爵から別れを告げられ、ショックのあまり倒れてしまう。
以来塞ぎ込んでしまった姿を心配したボヴァリーは、エマをルーアンで開催されるオペラに誘う。
ルーアンでレオンと再会したエマは、レオンと関係を持つ。
表向きはピアノ教室に通うためにルーアンに通い、実のところはレオンとの逢瀬を重ねていた。
その夜帰宅したエマは、ボヴァリーに使い込みを責められる。
だが、勝手に請求書を見たのかとエマは激昂するばかり。
借金はとうとう一万フランを超え、法律家であるレオンに助けを求める。
職場まで来たエマを疎んだレオンに、上司は不倫をするならクビだと宣告。
レオンはその場でエマを捨てるのだった。
家の戸には差し押さえの書類が貼り付けられており、エマは侯爵に借金を申し入れる。
しかしすげなく断られ、金策のために持ち物を売ることにする。
とうとう母の遺品のカトラリーを手放そうとするが価値はなく、ルウルーに誘いをかけるも断られる。
進退窮まったエマは、夫の薬品箱から毒を持ち出して森で服用。
村では、松明を手に人々がエマを捜索しているが、エマは既に息を引き取っていた。



破滅的過ぎる。
夫に隠れてツケで浪費するのも、退屈だという理由で善良な夫を裏切るのも、金策がうまく行かなくて逃げるように自殺するのも、まっっっったく理解できない。
母を早くに亡くしてしまって、結婚生活の実態を知ることなく修道院生活を送っていたために、退屈でも平穏な日常に幸せを見いだせなかったのかもしれない。
レオンの職場にまで押し掛けたり、ルウルーから度々の支払請求があるにも関わらず、返済能力がないのに夫に相談もなく買い物を続けるなんてどうかしているとしか思えない。
そんなに退屈は嫌なこと?
夫に対して働きかけるようなこともせず、浮気と浪費。
夫の仕事に口を出す。
愚かにもほどがある。
映画としての良さより、エマの思考回路が全く理解できない気持ちの方が強かった。
退屈な夫も、甘言で買い物をさせたルウルーも、弄んだ侯爵も、最初は一途だったレオンもみんな男が悪いの?
全部エマの働きかけがなくては事態は起きなかったことばかりだ。
エマが母親の形見のカトラリーを売り払おうとするのを、困窮の中でさえそれだけは売るなと止める夫の誠実さが切ない。
19世紀フランスの農村での人々の営み、エマ役の女優やドレス、画面はどこを取っても美しく、そこだけは良かった。
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