菩薩

みちていくの菩薩のレビュー・感想・評価

みちていく(2014年製作の映画)
2.5
何者かになりたい、何処かへ行きたい、しかし何者にもなりきれず、何処へも行けずに、ただ毎日満たされぬ何かに向かって満たされない心と身体を抱え生きていく、その身に刻まれた噛み跡に己のレーゾン・デートルを見出し、腕に刻まれた痛々しい横線に生の実感を見出す。センシティブに揺れ動くモラトリアムでイノセントな存在を描き出そうとする心意気は大いに買いたいし、卒業制作ということを鑑みればそんなにケチをつけたい作品でも無いけど、どう考えても噛めない場所に噛み跡が付いているのはどうしたって納得がいかないし、あんな甘噛みじゃ絶対に跡は付かないし、血糊のケチャップ感が酷すぎて非常に勿体無い。せっかくエロティックなフェチズム方面に突っ走れる最高のスタートを切りながら、そっち方面には全く走ろうとしないのは何故なんだろう、そっちを求めるのは俺が変態なだけだろうか。多分この監督さんはジブリでは『耳をすませば』が一番好きなんだろうなと言う気がする、己で己を肯定できないがために誰かに肯定して欲しい願望は非常によく分かる。もっと吹っ切ることを覚えれば才能が爆発しそうな気はするし、我ながら覚えたてのカタカナ語の多用はウザいな思う。脚フェチとしてはなかなか眼福ムービーだった。やっぱこう言うのを観ると『鬼畜大宴会』のある種の異常さを改めて実感する。とりあえず脇の匂いでも嗅いでんのかと思ったらそうじゃ無かったって事だけは伝えたいけど、逆に言えばそれくらいのコンプレックスを付与してやった方が深みが出たと思う、言うても思春期なんだし。
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