うめ

あの日のように抱きしめてのうめのレビュー・感想・評価

あの日のように抱きしめて(2014年製作の映画)
3.8
オープニングに響いてくるのはコントラバスの音色だろうか…
地を這うように重く響き渡る。
まるで、観るものに心の準備をさせるかのように。

収容所から奇跡的に生還した元歌い手のネリー。
しかし、顔に大怪我を負ってしまった為に、整形手術を受ける事に。
回復してきた彼女は、昔の自分を取り戻そうと夫ジョニーを探す。
彼は元ピアニストという手がかりで酒場に向かうネリー。
しかし、出会ったジョニーは気付かない。
それどころか、ある提案をしてくる…

まず、顔が変わったとしても声とかで気づかないのか?とか少しは分かるだろうなどのツッコミどころはおいといて^^;

戦争が生み出した悲劇。
戦争が終わったとしても、傷口から流れ続ける血のように止まることはない。
収容所から帰っても、奪われてしまった全て。
まわりも喜べる人ばかりではないだろう。
ジョニーも、ネリーはもういないと思い込みたかったのかもしれない。
罪悪感と一緒に…

顔、歌、友人。
全てを奪われたネリーが求めたものは決して戻らない。
でも、もしかしたら夫だけは…
かすかな希望にすがるネリー。

ラストに彼女が歌い上げる「speak low」
そこに見えるしなやかで折れない心。
女性の弱さと強さを感じた作品でした。
原題は、灰の中からでも何度でも蘇るという女性の強さを意味しているのだろうか?
「あの日のように抱きしめて」
切ない女心。
私の中では、邦題の方が好きな響きです。
うめ

うめ