がんびーの

あの日のように抱きしめてのがんびーののレビュー・感想・評価

あの日のように抱きしめて(2014年製作の映画)
4.0
”生きている者より死者に想いを寄せる”
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切なき再会。
儚い愛。
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1945年6月、ベルリン。第2次世界大戦でのドイツ降伏の翌月、元歌手でユダヤ人のネリーは、顔に大怪我を負いながらも強制収容所から生還する。ピアニストだった最愛の夫・ジョニーを見つけだしたい彼女は、顔の再建手術で元の顔に戻すことに固執するが…。
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かなりマイナーな作品で評価も普通なのでどうかなと思いましたが、思いの外素晴らしい作品でした。今までのホロコースト作品には無い観点のストーリーでした。ドイツ人による卑劣なユダヤ人差別にはあまり焦点を置いておらず、その後のユダヤ人を描いています。今までホロコースト後の彼らを描いた作品を見たことがなかったので、かなり考えさせられました。
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ほとんど差別の話は出てこないので、どのような残虐な行為が行われたかなどの知識を持った上で観ないと「なんか薄っぺらくね」となってしまうかもしれません。知った上で見ると、説明せずとも伝わってくる主人公の苦しみ・痛み・恐怖などに胸を打たれます。聞いた話によると、ホロコースト生還者の多くは、アウシュビッツでの出来事などがあまりにもショックすぎてそこの記憶だけ消えているなどということがあるらしいですね。それを思えば、本当に収容所生活を経験した彼女(ネリー)が経験していない丁で経験者の話をするのは、あまりにも残酷だなぁと。(ちょっと何言ってるかわかんないですね笑)とりあえず、ホロコーストのような卑劣な虐殺は「もう殺しませんよ」と事が終わったからと言って、全てが解決するわけでは無いということです。それまでに築いてきた関係は全て打ち壊されるし、以前の自分と以後の自分じゃ、外見だけでなく内面もガラッと変わってしまっただろうし、何より生還できたからと言って楽しく元の生活ができるわけはないでしょう。
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後、一番思ったのはジョニーもっと早くに気づくだろ。
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ぜひぜひぜひ
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