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ディーパンの闘いのrage30のネタバレレビュー・内容・結末

ディーパンの闘い(2015年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

フランスへやってくる、スリランカ難民の話。

難民審査を潜り抜ける為に擬似家族を形成する男女が主人公で、言わば、万引き家族ならぬ“難民家族”という感じの作品かな。

一言に難民と言っても、彼らがどんな出自を持って、どんな生活を送っているのか?という事までは、なかなか知る機会がありません。
本作は難民の実態を描いてくれるので、難民の事を理解する手助けになりました。
当然と言えば当然なんですが、やっぱり言葉や文化も違う土地で生きる事は並大抵の事ではない。
仮に言葉を覚えても、拭いきれない孤独感や疎外感はあるわけで、外国の人と接する時は優しくしないとな~と思いましたよ。

そんな難民の苦難や葛藤を描きつつも、真面目に仕事をこなす主人公は生活も落ち着き、形だけだった家族とも心を通わせ、本当の家族になるのかと思いきや…。
結局、逃げ延びたフランスにも暴力は蔓延っており、家族に離散の危機が迫ります。
ここで主人公が家父長的な価値観を露にするのは、ちょっと見ていて辛かったですね。

そして、終盤にはまさかの「舐めてた管理人は元兵士でした」映画へと展開。
いや~そんなドンパチする映画だとは思わなかったから驚いたし、アクションシーンのクオリティーが高いのも嬉しい誤算でした。
まぁ、主人公にはこれしか家族を守る方法がなかった…暴力というよりは不器用な男の愛を描きたかったのでしょう。
ラストのハッピーエンド風の映像は、やっぱり妄想なのかな?

難民をテーマにしながら、家族の話もあれば、バイオレンスもあってと、社会性とエンタメ性のバランスが取れた良作。
パルム・ドールを獲得したのも納得です。
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