Angeprunelle

ディーパンの闘いのAngeprunelleのネタバレレビュー・内容・結末

ディーパンの闘い(2015年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

内戦下のスリランカから逃げてきたある男と女と少女の物語✧

日本で産まれた私には到底理解出来ない現実だけれど
どこで産まれたとしてもどこで生きていくとしても
人が求めてるモノは大抵皆同じなのかもしれない。

この作品を見て私はやっぱりまだまだ幸せで
恵まれてる方なんだなと実感した。

けれど日本は幸福な国だなとか
豊かな国だなーなんてことはこれっぽっちも思えなかった。
これだけ過酷な現実を見てもね。
それが心底辛いし怖くてやりきれない。

彼らは恵まれない環境の中
血の繋がらない者が一つ屋根の下暮らし
3人で食事をし喧嘩をし言葉を通訳し合い
完璧ではないけれど不器用に交わりながら
なんとか一日一日を不安の中やり過ごす中で
ようやく温かな血の通う家族のようなものを育み始めた。

人肌の安心感。
頭を撫でる柔らかい手。

けれど日本はそうじゃない。
元々が家族なのに血の通わない
心の悲鳴の届かないご飯を与えてもらえない
小さな小さな子供が確かにいるということ。
一番愛されるべき家庭という場所で
絶望だけを与えられ冷たい棘だけを味わい
覚えたてのひらがなで悲痛な言葉を綴り
凍えながら死んでいく子供がいること。
心の満たされない孤独な大人が溢れかえっていて
本来持っているはずの優しさを失ってしまっていること。
その哀しみや苦しみは伝染し充満し
そしてそれは怒りや暴力となって爆発し
連日悲劇のニュースで溢れかえっていること。
本当は最高に恵まれてる環境のはずなのに
一人ひとりの心が貧しくなっている日本。

豊かであるべきは環境の前に人の心♡
人の心が豊かな環境を作っていくということを忘れちゃいけない。

弱きものを守る強さや人を笑顔にする優しさは
与えなきゃかえってこないってこと✧

過酷な場所で育ったぬくもり。
恵まれた場所で失われたぬくもり。

どんな貧しい場所でも愛は育つし
どんな恵まれた場所でも愛は枯れる。

表面上の環境はその国々で
全く異なる表情をしているけれど
蓋をあけてみれば抱えている荷物は
大して変わらないように感じた。

平和=幸福ではない。
パリ=美しいでもない。

日本とは対照的な過酷な景色に
日本と重なる哀しみを見た。

友達✧家族✧先輩✧後輩✧恋人✧他人✧
誰とでも良いからほんの少しのあいだ手を繋いだり
ちょっぴり肩を借せてもらったりハグしてもらったり
人の肌でなきゃ得られない
優しさや安心感ってのがきっとあるんだよね。
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