yah

神のゆらぎのyahのレビュー・感想・評価

神のゆらぎ(2014年製作の映画)
3.5
飛行機が墜落するのは、全能の神が存在しないからだ。

看護学校に通っているので、エホバの証人を信ずる信者やその子供たちが輸血をせず死んでいる歴史や現状は学んでいます。看護の場ではゴードンの11の機能分類に分けて患者をアセスメントするのですが、その一つに「価値 信念」があり、エホバのように宗教などによって治療を拒む患者の情報を入れます。救われるために宗教に入るはずなのに、宗教の縛りによって命を落としてしまうことが私には信じられないことで、医療に身を置くものであれば、救える命を救えないということにもどかしさを抱くはずです。当人の意思を尊重することは医療従事者として大切ですが、なかなか納得いかないものです。エホバを信ずるジュリーは、エホバと医療従事者としての立場に挟まれ、輸血してしまいますが、輸血された男性は実際助からず、ジュリーはエホバからも医療の力からも見放され、恋人も失い、悲劇的な主人公を演じています。人も神も全能ではないということを突きつけられます。また飛行機事故という悲劇的な事件と関連づけ、エホバに関することだけの淡白なものでない、重くズシっとした作品になっており、なかなか見ごたえ十分で、飛行機事故での1人の生還者は誰なのかという推理も楽しめました!
yah

yah