LisaKawato

グランドフィナーレのLisaKawatoのネタバレレビュー・内容・結末

グランドフィナーレ(2015年製作の映画)
3.4

このレビューはネタバレを含みます

映像がとにかくきれい。詩的な映像の切り替わりがよかった。時々音楽も映像も意図的に?俗物的なものが入ってきたりするので、ただきれいだなぁ〜という感じでもない。隙間隙間にシュールな面白さがあった。俗物的なものは個人的にうまく効いているものとずれているものがあった気がする。ところどころ、変に真面目な感じというか、肝心なシーンで、どこかで聞いたことのあるようなやりとりや演技が多い気がして、なんとなくそれが嫌だった。

物語の中で、映画の中で作られている映画の結末をどうするかについて色々やりとりをするシーンがあった。そのことを、人生の終わり方がどうであるか、ということと重ねながらもう一度観てみたい(最後のシーンがその友人の方だったから)。映画がドタキャンにより作れない、となったというのは、人生の終わり方を否定され、今までの自分の人生に満足していたつもりだったが、急にそうではないと知らされ、思い知った、という感じだったのかもしれない。別の映画を作り直す、ということは、それまでの人生をもう一度正しい位置から見つめ直し、新しいフィナーレを考える、ということかもしれなかった。映画の終わりに現れるのがフレッドでなく友人の方なのが、この映画が単に一人の人生の終わり頃を描いた話でなく、グランドフィナーレとはどういう様子をしているかという感じがした。

初恋が思いがけず成就した気持ちが、自転車に乗れた時(しかし浮かれて転んでしまう)というのはとても素敵な表現だと思った。それから、何かを怖い、と感じる気持ちも大事で素敵なこと(経験)なんだ、という登山家の言葉がやけに心に残っている。その辺りについてあまり説明がなされず、言葉と一つのシーンのみだったからかもしれない。
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