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サウルの息子のperoのレビュー・感想・評価

サウルの息子(2015年製作の映画)
4.7
ゾンダーコマンドという名前を初めて聞いた。ゾンダーコマンドとはナチスの絶滅収容所でナチスの代わりにユダヤ人達をガス室に送り、死体を片付け、焼き、その灰を捨てる役、つまり汚れ仕事を全てやっていたユダヤ人を収容所ではそう呼んでいた。最終的に彼らは絶滅収容所の内情を口外しないように4カ月ほどで殺されていた。
この映画は主人公のサウルの目線で私達をアウシュビッツの只中に入れゾンダーコマンドとしてウロウロさせられる。その画面はぼやけていて見にくい。サウルはこの収容所で働いて約4カ月、自分のやっている事に精神的もう限界が来ているうえに明日殺されるかもしれないという状態。彼はこの地獄を見ない事で生きている。
情報の無さ、ヨーロッパ映画独特の主人公を突き放し情緒を排した演出。とにかく見え無い画面の情報を少しでも得ようと集中させられた。うるさく感情をライドさせられ無いからこそより深く、絶望した人間が生きる希望を持つとはどういう事なのかを考えさせられた。
絶対に体験出来ないアウシュビッツを体験するために映画館へ行くべき映画。
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