山田

ロブスターの山田のレビュー・感想・評価

ロブスター(2015年製作の映画)
4.6
「哀れなるものたち」に向けて再鑑賞。
極端に寓話性の高いギリシア悲劇的な物語を、現代に限りなく近いディストピアを舞台に語ることで生まれるユーモアと一種の居心地の悪さ。これが本作の魅力であり、且つヨルゴス・ランティモスという作家を語る上で最も重要な要素。「女王陛下のお気に入り」は18世紀を舞台に現代的な演出を持ち込むという逆をやっていたけれど。
究極の選択を半ば強制的に迫られる、非常に底意地の悪いラストシーンが、その後の「聖なる鹿殺し」の"選択と結果"というテーマに繋がっていると気付いたり、超嫌な緊張感が持続する長回しは「籠の中の乙女」のラストでもやってたな〜と思い出したり。色んな気付きがあって面白かった。
作家性の強い監督の作品は、作品同士の繋がりを意識しながら観ると更に面白いと再確認した。作家のファンからすればその作品に作家性が表れていさえすれば傑作なので、「哀れなるものたち」が傑作なのは分かり切っている。それだけに超楽しみ。
山田

山田