KAJI7

ロブスターのKAJI7のレビュー・感想・評価

ロブスター(2015年製作の映画)
3.6
独身という悪は動物に変えられてしまうのか…。
企画物アダルトビデオみたいなシチュエーションの映画作品でしたね。🔞
監督は『聖なる鹿殺し』のヨルゴス•ランティモス監督。🇬🇷
最初はストーリーや設定に対してかなり疑問を感じるシーンが多いですが、話が進むにつれて理解出来てゆく良心設計となっております。

内容としては、恋愛感情が胸中から消え失せつつある僕のような人間が何だか申し訳なくなるような作品でした、笑🎬
良いじゃないですか独身貴族!
何がこの作品をこうさせてしまったのか…
ただ着眼点はかなり良かったです、ありそうでなかったディストピア的発想。
『聖なる鹿殺し』でもそうでしたが、ギリシャ神話のイコノグラフを用いる節があるのはやっぱりギリシャの監督さんだからなんですかね?笑
(アクタイオン、レートー、エイレイテュイアの話など、動物への変身はギリシャ神話あるある…)

ギリシャ神話のいくつかの寓話にしてもそうですが、「動物に変身させられる」という発想は、人間が他の動物よりも格上であるという前提があって初めて生まれてくる考え方です。
ですが、この映画はその意味では人間と他の動物とを同等のものとする感覚がベースにあるんだと思います。
相手に共通性を見出して近づいたり、性欲に駆られたり、他の個体を蹴落としたり。もちろん人間だって動物だからそういうことはある。
でも、こうやって一本の映画としてその事実を見つめ返すとこんなにも違和感がある。この違和感こそが人間が人間たる証なのかもしれないな、と観ていてそう感じました。

次は『籠の中の乙女』観ます!
ちなみに僕ならコアラが良いです🐨
いざって時以外何にもしない感じが大好き。
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