gomimushi

ロブスターのgomimushiのレビュー・感想・評価

ロブスター(2015年製作の映画)
4.0
「哀れなるものたち」があまりに面白すぎたため同じ監督のものを鑑賞。やっぱりこの監督の作品全部ぶっ飛んでるわ。着眼点が普通の人間じゃ決して思いつかないものばかり。

終始気持ち悪すぎる空気感、なんとも居心地の悪い宗教ちっくな香りをここまで丁寧に描くことができるのはこの監督にしかきっとできないのだろう。

“独身は罪で、独身のままだと動物にされてしまう”

映画を普段見ない人でも、この世界観の設定を聞いただけで思わず気になってしまう誘引力があるだろう。
時代的に少しずつ緩和されていっているが「独身はダメなこと」という社会的な扱いはまだある。しかし独身であると動物にされてしまう…これは比喩でもなんでもなく、本当にあの動物。獣。

調べたところヨルゴス・ランティモス監督は既婚者。しかもお相手がこの映画に出ているというキチガイっぷり。

登場人物も主役以外は名前がなく、「滑舌の悪い男」とか「鼻血を出す女」などその特徴であらわされるのだが、その割には全く個性が感じられず心も通ってない感じがして、社会の仕組みの中で役割を淡々とこなす機械の様。この世界観がたまらない。

ラストの目のくだりは解釈が非常に難しいが、きっと最後の最後では捕まってロブスターになっている様な気がする。個人的に2回は見たい作品。
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