まっつん

ロブスターのまっつんのレビュー・感想・評価

ロブスター(2015年製作の映画)
3.9
独身は罪だ!!生きてる価値など無いのだ!!動物になってしまえ!!といった感じのディストピア物ですね。

いやですね、こんな世界は笑。親に「早く結婚しろ!」と言われるのだってきっと耳が痛いはずなのに、それを社会全体から言われてるわけですからね。

まずこの映画けっこう笑えます。特に中盤まではシュールかつ間の悪い笑いが大量に詰め込まれていてとにかく笑いました。脚の悪い男の娘を蹴っ飛ばして「これで親父と同じ様に歩けるぞ」と宣うシーンは最高でしたね。

また本作は謎が多く、抽象度の高い映画ですので分かりやすく現実のメタファーが盛り込まれていると思います。本作の世界にはとにかく「中間」という概念がありません。靴のサイズにしても24と25の間の24.5は無いんです。またバイセクシャルもこの結婚強制施設内では許されません。異性愛者が同性愛者のどちらかを選ばねばなりません。そして「独身者は罪」という体制も勿論酷いのですが、体制に抗う「非モテレジスタンス」も酷い。彼らは恋愛に繋がるような異性同士の交流を一切許しません。その禁を破ったらキッつ〜いお仕置きが待っています。「結婚するか一生独身か」という2択しか選択肢は与えられないのです。そんな世界を主人公は自分の居場所を探して彷徨い歩くわけですね。

現実の社会でもいまアメリカでは人々が政治思想的にタコ壷化して右と左に極端に分かれていると言われています。故に中間層が弱い。だからドナルドトランプのような男がのさばってるわけです。日本も同じような現象が見られるように最近感じるので考えさせられる部分が多かったです。

また施設に入っている連中は揃いも揃って恋愛が下手なんですが、身がつまされる思いでしたよ笑。共通点至上主義の男が出てきたりと男の人は胸が締め付けられると思います。