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ロブスターのfuzyのレビュー・感想・評価

ロブスター(2015年製作の映画)
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設定が面白そうで興味本位で観たけれど、思っていたよりも色々考えさせられてしまった。

表面的な(偽装できる)情報で疑似恋愛を進める現代への風刺のようにも感じるけれど、それ以上に人間という動物の宿命というか矛盾を提起しているようにも感じた。
ラストは希望的観測も含めて解釈が分かれる気もする。

多くの野生動物とは異なり生殖以外の価値を見出だしたはずの人類種だが、動物的に子孫を残すため半ば強制的に番を成すことを求められ、それを拒めば文字通り動物にされ、そこから逃れた人たちは森の中で原始的な(動物的な)生活をし、その中で制約(理性)を振り切って動物的な性愛へ至るが理性により真に盲目的で動物的になることが躊躇われる。
どこまでいっても人間も所詮は動物であるという皮肉か、あるいは性愛から解放された状態こそが真に非動物的(人間的)な存在であるのか、はたまた中途半端で不完全な存在として描いたのか。

自分のなかで答えは出ていないけれどテーマやメッセージは比較的明確な映画だと思う。
これを高く評価するか低く評価するかは個人の好みもあると思うけれど、何も感じずただ変な映画で終わるのはもったいない。
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