Rio

ロブスターのRioのレビュー・感想・評価

ロブスター(2015年製作の映画)
3.6
まるでモダンアートのような作品でありこの映画を観た後、私の頭は混乱に陥った。
自分が感じたことが正しいのか、作り手が伝えたかったのは他のことなのか。

しかしながらブラックユーモアと皮肉が効いた奇妙で不思議な世界観は人は選ぶがとても興味深く面白く感じた。
表現の一つ一つがデフォルメされていて印象を強く残していく。

前半部のホテルの世界と独身者の森でのでは全く反対の世界が広がっている。
しかしどちらの世界でも自由というものは全く存在せず、ガチガチに縛られた規則の中、それを破るとどちらの世界でも酷い体罰を受けるという、、、

愛を強制された世界ではパートナーを見つけることが出来ず、禁止された世界で愛を見つけてしまうデヴィッド。
抑圧されるとよりそれを求めたくなるし、より燃え上がるという物だろう。

しかしその愛以上にこの世界ではお互いの共通点が必要らしい。
共通点探しに躍起になる男性たちの滑稽さ。(この世界では特に女性は男性に擦寄らず男性が女性の共通点に合わせていこうとする姿を強く感じた。)
互いをパートナーとして認めるのに共通点は必要なのだろうか。
お互い会話し関係を深めていくうちに自ずと後から共通点は見つかるはずである。
それはあからさまな共通点ではなく、面白いと感じるところ、感動するところが一緒であったり漠然とした共通点であり、所謂フィーリングの一致といったところだろうか。
足の悪い男と鼻血を出す女は最初は男が頭を打ち付け鼻血を出すという共通点を無理矢理作り出し、カップルとなったがデヴィッドの暴露の後もどこか落ち着いた雰囲気があり、彼らはその先に辿り着くことができていたのではないかと考えている。
果たしてデヴィッドは近視の女とうまくいったのだろうか。それともロブスターとなってしまったのだろうか。

どちらにせよ失ってしまった共通点を取り戻すためにデヴィッドがナイフで目を潰すことが出来たのか否かは謎である。
結末はこちらの解釈に任せてられている。
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