なんだか、とても良かった。
『定められた期間のうちにパートナーを見つけられなければ動物に変えられる』という設定が耳慣れないから、不条理と表現する人がいるのかも知れないけれど、まったくそう感じなかった。
ここで語られているのは、嫉妬とか愛の不毛とか自分自身の心の不確かさとか、今のこの世の中に生きる人々の多くが直面したり持て余したりするもの、または古い映画でも語られているような、ヒトが生きていくことのおかしさとか哀しみ。そんなあれこれを寓話として描いているんだと思った。
結末について、男がどちらを選択したかということについて、見た人の間で話し合われているようだけれども、ただ迷っている、ということを見せたかったんだと思う。堅く誓ったはずのものでも、ほどけそうになることがあるという、人間の頼りなさを表したかったんだと思う。