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ちはやふる 上の句のamokのレビュー・感想・評価

ちはやふる 上の句(2016年製作の映画)
5.0
なんかもう凄い好き

昨年、大号泣した『国際市場で逢いましょう』より泣いてしまった。
でも、そんなに泣ける映画じゃないかもしれない。

僕が大号泣した映画といえば、
『愛のむきだし』
『ばかもの』
『おにいちゃんのハナビ』
最後のはともかく、人とは泣きのポイントがずれてるみたいなので…

しかし、苦い青春を過ごした人は、僕のように大号泣するかもしれません。


いつも、机に向かい勉強ばかりしているオタクなツクエ君(森永悠希)。
正に悟り世代なのかな? いくら頑張ったって勝てるわけないと、本気にならない太一(野村周平)。

彼らの姿を観ていたら、泣けてしかたなかった。


いつも1人のツクエ君。
カルタ部に入り初めて誰かに必要とされ、本気でカルタに取り組むようになる。
だけど、試合に勝てない。悔しい。

そんな時…
悪気はないけど、チームの捨て駒作戦で、強い相手に当てられる。
ツクエ君のプライドは粉々に。

どうせ僕なんか最初から数合わせ。
初めて味わう挫折。
仲間と一緒に頑張ることは本当に楽しい。
だけど、結果がでないのは悔しい。
なにより、一緒に頑張ってきた仲間に勝ち星に数えられていなかったことが。

だけど、チームのみんなはツクエ君のことを大切な仲間だと思ってる。

戦いの中、カルタを通してツクエ君が必要なんだよと伝える。
「あなたがいれば私は頑張れる」という意味の唄を通して。
最大のライバルとの戦いで、チームはやっと一つになる。


次は、太一。
格好ばかり気にしてる。
がむしゃらに頑張ることはダサいと思って、いつもクールを装う。
好きな子〈千早(広瀬すず)〉にカッコ悪いとこ見せたくなくて、ライバルのメガネを隠すちっちゃい男。

それが原因なのか、試合では運が悪く負けることもしばしば。

ライバルは天才。
自分がどんなに頑張ったって、勝てるはずがないと諦めてる。
だから、言い訳をして本気にはならない。

「青春全部かけたって、勝てない」
確かに才能や運が足りなくて、どうしても届かないものもあるだろう。

だけど、才能がないとか運が悪いとか言っていいのは、本当に青春全部かけて努力した人だけなんだって。

その言葉を聞いた時、ガツンと頭をぶん殴られた気がした。

確かにそうだ。
本当に欲しいものがあるのなら全てを懸けて取りに行けばいい。
それができないなら、言い訳する資格はない。

格好ばかり気にしてた太一が、ラストに見せた泥臭さ。

その姿勢が奇跡を起こす。
いや、あれは自分から奇跡を掴みにいったんだ。

カルタへの情熱・ちはやへの思い・チームの絆

全てがこのシーンに集約され、太一が殻を破って、その先に進むことができた瞬間。
マジで感動しました。


【ここからは、僕の私情たっぷりのくだらない独り言なので読まなくても大丈夫です】

自分は高校時代、小さなボールを小さなラケットで打つスポーツをしていました。
そこそこ才能があり運にも恵まれたため、1年の時は校内で1番強く、そこそこ良い成績も残せました。
でも、そこに胡座をかき本気にならなかったため、1人2人と抜かれていきました。
それでも、ちゃんとやれば自分の方が強いと思ってたから、そんなには悔しくなかった。

そんなアホな僕でも3年になって気づきます。
どうやっても勝てないと。
チームメイトとの実力の差を実感し、焦って本気で練習するようになります。
でも、後の祭り。
ずっと本気でやってる奴には勝てなかった。
最後の試合では、レギュラーからも外された。
さらに、好きだった女の子をダブルスの相方に取られてしまうという悲劇まで…

そんな、ちょっぴりビターな青春を送ったせいか、太一やツクエ君の姿と自分の苦い記憶が重なって、バカみたいに泣いてしまった。


まぁ、それはともかく、
競技カルタに青春を懸けるその熱
みんなで頑張ることの楽しさ
ほのかな恋心と嫉妬心
百人一首に宿る歴史ロマン
『舞妓はレディ』で人生の春を見せてくれた上白石萌音の次のステージ
白目になっても可愛い広瀬すず


青春が詰まった、素晴らしい映画でした!
大満足です(・Д・)ノ
amok

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