せいけ

母の残像のせいけのレビュー・感想・評価

母の残像(2015年製作の映画)
4.7
戦場写真家だった母を亡くし残された父と子2人の物語
ひたすら静かに淡々とその死と向き合う様が描かれるが決まったショットと斬新な語り口から退屈な瞬間はまるでない
この手の作品としてほとんど男性同士で寄り添い合っていくものはかなり少ないのでは
おおよそどの作品でも女性の力を借りていることが多いと思う
お互いの感情を気付いていても打ち明けられない同性同士のコミニュケーションの難しさを表現されている
いわゆる男性的な傲慢な人物ではなく繊細でありながら程よくずるく弱い部分も描かれていて人物描写として多層的だと感じた
進行しているドラマがどの時間軸から語られているものなのか判別しづらいのも独特な味わいが残る
不在の中心として強度を増していくイザベル・ユペールも見事
人を選ぶ作風かもしれないがコミニュケーションの重要性というとても普遍的なことが繊細に描かれていた