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母の残像のBOBのレビュー・感想・評価

母の残像(2015年製作の映画)
3.5
ヨアキム・トリアー監督の家族ドラマ。長編3作目にして初の英語映画。

父親と二人の息子が、戦場カメラマンとして活躍し、数年前に亡くなった母親・妻と向き合う。

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ヨアキム・トリアー監督は、『テルマ』に続いて2作目の鑑賞。

詩的で内省的な家族再生物語。

てっきり『プライベート・ウォー』のような戦場カメラマンのPTSDに迫る作品かと想像していたが、『普通の人々』のような崩壊した家族のドラマであり、家族との死別にどう向き合うかを描いた作品だった。妻の死の真相を巡って次男との接し方に悩む父親、自らも父親となった長男、思春期真っ只中の次男と、三者三様のドラマがあった。

もちろん母親であり戦場カメラマンでもあるイザベル(イザベル・ユペール)視点の悩みも描かれていた。仕事の都合上、家を離れていることが多いため、自宅にいるのに疎外感を覚えるというのは虚しく悲しく辛い。カメラを見つめるイザベル・ユペールの長回し超アップショットは、最も印象的なショットだった。

次男コンラッドのドラマが一番心に響いた。母親を失った心の傷と、思春期特有の心の不安定さが生々しかった。ここから学んだことは、子供は大人が考えている以上に繊細に物事を察しているということと、自分に心を開いてくれない人に対しては自らも心を開かないということ。

好きな子の小便が流れてきて、自分の靴の方へ流れてくる。教師の顔にツバを吐く。

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