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オーバー・フェンスのandlove804のレビュー・感想・評価

オーバー・フェンス(2016年製作の映画)
3.8
オーバーフェンス。
この映画のポイントは「人生は楽しいことばかりじゃないけど、悲しいことばかりでもない」ということ。

函館が舞台の2016年公開作品。オダギリジョーさん、蒼井優さん、松田翔太さんなど出演されています。

ほとんど、悲しいというか、空虚感漂う映画で、観ている最中、この映画救われるだろうか?と少し不安になりました。
登場人物のほとんどが、職業訓練所に通う年齢も立場の様々な人達。
オダギリジョー演じる白岩もその1人。
バツイチであること、子供がいること、今は会えないこと、様々な未練やジレンマを抱えながら、日々生活しています。

そんな中、蒼井優演じるさとしに出会って、過去と向き合いはじめます。
「おれ、何にも失うものないから」とか「今のうちに笑っておけ。これから先、笑いたいことなんて何もなくなるんだから」とか、全く救いようのない台詞が多いし、
共感できる部分がほとんどないのに、感情移入してしまう作品。

函館のノスタルジックな雰囲気と、彼らが必死に、それでも生きていかなければならない様子が絶妙にマッチしています。
そう、函館って言うのが妙にリアルなんですよね。路面電車、海、路地、坂。
暑い日を想像しながら、ここで本当にこんなことがあったのかもしれないと感じさせてくれます。

あと、全く笑えない、猟奇的なシーンを、蒼井優さんが演じるんですけど、まぁすごいですよね。10年前、百万円と苦虫女でキュンキュンストーリーを演じていたとは思えない、さわやかさのかけらもない、女性を見事に演じていました。

で、ここまで話しておいてあれですが、結構笑えるポイントがあるの。
だから、人生って、きっと楽しいだけじゃないけど、悲しいだけでもないんだろうなぁって、思えます。
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